スタッフミーティングでしたお話
子どもたちの普段の学校の活動と、スノーワンダーランドの活動の違いは何だろか? 民族学にケ(日常)とハレ(非日常)という言葉があります。ケの世界は日常繰り返される日常体験の世界で、子どもたちが毎日同じ時間に学校へ行き、同じ教室に入って、同じ席に着く。毎日決められた時間割に沿って授業ある。日常繰り返されてコツコツと積み重ねていく世界。反対にスノーワンダーランドは、二週間という特別な時間と場所での非日常の世界です。
スノーワンダーランドは13泊14日と日本では長いキャンプですが、たかが数日のキャンプで教育的な効果があるのか・・・・と良く言われます。私はどんなに短いキャンプでも、非日常性がもつ世界にポイントがあると思っています。ケとハレでは心の状態が異なるのです。例えば、普段の暮らしの中で「一昨日の夕食のおかずを思い出せますか?」という質問をすると、「思い出せない」と答える人がいたとすれば、その人にとって一昨日の夕食は特に印象にも記憶に残らない日常の〝ケ〟の夕食なわけです。ところが、「数年前に旅先であのレストランで食べたあの食事」というように昔のメニューが記憶にあるのは、その食事が〝ハレ〟の食事だった訳なのです。言ってみれば、〝ハレ〟の状態はこころが開いて、その時の体験や記憶が鮮明に心の奥底に残りのです。短い非日常のキャンプで、この状態を活かすことができればいい訳です。スノーワンダーランドの体験や、スタッフや関わった人からかけられた一言が、一生影響を及ぼす可能性があると言うことです。私も小学生の時に盛岡で過ごした時の子ども会のキャンプでのリーダーの一言が印象に残り、一生自分の行動の規範になっていることがあります。
この話をして、今回参加しているカウンセラーがこんなことを話していました。今回参加している子どものAちゃんは、5年前にここで初めて牛の世話をした体験を鮮明に記憶していました。というのはその子は、初めて世話をした牛の耳についている認識番号タグの番号を記憶していると言います。Aちゃんに取って初めての牛の世話がまさに〝ハレ〟の状態だったのでしょう。
日常の学校の教室での勉強もコツコツと積み重ねる大切な学びの時間です。そして非日常のキャンプの体験は何か大切なことが自分の記憶として深く心に残る可能性がある学びの時間でもあるのです。
くりこま高原自然学校でもキャンプなど期間が定められたプログラムは普段の生活から離れたハレの活動と言えます。また、くりこま高原自然学校が取り組んでいる長期寄宿の「耕英寮」の活動、暮らしは〝ハレ〟と〝ケ〟の活動を織りなして行う〝場の教育〟なのです。